朝日新聞が「いじめと君」という特集ページを組んでいます。
いじめられている君へ
いじめている君へ
いじめを見ている君へ
それぞれ著名人からのメッセージが寄せられています。
例えば美輪明宏さんは
《いじめを見ている君へ》
■黙認していれば共犯
ずいぶん前から言ってますが、いじめは犯罪(はんざい)です。やってることは脅迫(きょうはく)、暴行、傷害(しょうがい)、殺人。実態(じったい)をちゃんと表すために「いじめ」ではなく「犯罪」という言葉を使うべきです。
そしてあなたがそれを黙認(もくにん)していると、加害者(かがいしゃ)は「やってもいいんだ」と正当化されたように感じます。黙(だま)ることは共犯(きょうはん)なんです。「犯罪者の共犯」。そう言われると重大に感じてギョッとするでしょう?
自分が巻き込まれたくないからと、保身(ほしん)のために黙っていたい気持ちは分かります。いじめっ子に立ち向かうのは怖(こわ)い? みんなでやれば怖くなんかありません。だっていじめっ子の方が数が少ないんだから。私は実際、小学生のときにそうしてやりました。
クラスにいじめっ子が4人いたんです。弱い子の机をひっくり返したり殴(なぐ)ったり蹴(け)ったり。私は、やられている子たちを集めて「みんなでやっつけよう」と言いました。男女20人以上集まりました。帰り道に神社の境内(けいだい)で待ち伏せて、みんなで一斉(いっせい)にかかって、こてんぱんにやっつけました。
いじめを黙認することで、負い目を感じている人もいるでしょう。苦しめばいいんです。それが償(つぐな)い。どう償えばいいのか悩(なや)んで、進化していけばいいのです。責任逃れをする、卑劣(ひれつ)な大人になってはいけません。
何もしないままだと一生後悔(こうかい)し続けます。たとえば、あの子は助けられなかったけど別の子は助けようとか。ボランティア活動をしたり、お年寄りに席を譲(ゆず)ったり、困っている人々に手をさしのべることも償いのひとつ。そうして徳(とく)を積(つ)めば、自然と自責(じせき)の念は消えていきます。(みわ・あきひろ=歌手・エッセイスト)